朝食は「食べた方がいい」とよく言われますが、実際には何が変わるのでしょうか。
今回はクライアント様からも質問をいただいたため、朝食の重要性について論文を交えながら整理します。
朝食の役割は「肝グリコーゲン」を補充すること
朝食を摂る大きな目的の一つが、肝グリコーゲンを補充することです。
まずはグリコーゲンについて簡単に整理しましょう。
肝グリコーゲンと筋グリコーゲンの違い
- 肝グリコーゲン:血糖値を維持するためのエネルギータンク
- 筋グリコーゲン:筋肉が運動時に使う燃料
睡眠中も脳や内臓はブドウ糖を消費し続けています。そのため肝臓では、一晩かけてグリコーゲンを分解し、血糖値を一定に保っています。
一般的には肝グリコーゲンは約90gから20〜50g程度まで減少すると考えられており、朝起きた時点ではエネルギーの備えが少ない状態です。
一方で、筋グリコーゲンは寝ているだけではほとんど減りません。睡眠中は筋肉をほとんど使わないためです。
つまり朝食で糖質を補給することで、肝グリコーゲンが回復し、午前中の集中力や活動量を維持しやすくなります。
特に午前中に仕事や勉強、トレーニングを行う方は、空腹のまま動くよりもパフォーマンスを発揮しやすいでしょう。
朝食を抜くと昼食後の血糖値が上がりやすい
朝食を抜くデメリットとして知られているのが
「セカンドミール効果」が得られにくくなることです。
セカンドミール効果とは、前の食事が次の食事後の血糖値に影響を与える現象を指します。
2025年にBritish Journal of Nutrition誌へ掲載されたランダム化クロスオーバー試験では、思春期女子15名を対象に朝食を食べた場合と欠食した場合を比較しました。
その結果、朝食を摂取した条件では昼食後の血糖値の上昇が抑えられ、特に午前中に朝食を摂った条件でセカンドミール効果が明確に確認されました。
また、若年男性を対象とした過去のクロスオーバー試験でも、朝食を抜くことで午後から夜間にかけて血糖値が高くなり、24時間平均血糖値も上昇することが報告されています。
ただし、いずれも小規模かつ短期間の研究であり、すべての人に同じ結果が当てはまるとは限りません。
朝食はタンパク質を確保するためにも重要
減量中や筋肉を維持したい方にとって、朝食はタンパク質を摂る貴重なタイミングでもあります。
朝食を抜いてしまうと、昼食や夕食で不足分を補う必要があります。しかし、1日に必要なタンパク質を十分摂れなくなる人は少なくありません。
さらに、タンパク質は一度に大量に摂るよりも、複数回に分けて摂取した方が筋タンパク質合成を高めやすいことが分かっています。
2014年にJournal of Nutrition誌へ掲載されたクロスオーバー試験では
健康な成人を対象にタンパク質を均等に配分したグループ(30g・30g・30g)と、夕食に偏らせたグループ(10g・15g・65g)を比較しました。
その結果、均等に摂取したグループでは24時間の筋タンパク質合成が約25%高いことが報告されています。
そのため、朝食でも20〜30g程度のタンパク質を意識すると、筋肉の維持や増加を目指す方にはメリットが大きいと考えられます。
まとめ
朝食を食べるメリットは、「朝だから食べる」という習慣だけではありません。
- 減少した肝グリコーゲンを補充できる
- 午前中の集中力や活動量を維持しやすい
- セカンドミール効果によって昼食後の血糖値を安定させやすい
- タンパク質を分散して摂取しやすくなり、筋肉の維持にも役立つ
もちろん、生活リズムや目的によって最適な食事スタイルは異なります。しかし、仕事やトレーニングのパフォーマンス向上、健康管理を目的とする方にとって、朝食は取り入れる価値の高い習慣といえるでしょう。
参考文献
- Impact of breakfast consumption timing v. breakfast omission on post-lunch glycaemia and insulinaemia in adolescent girls: a randomised crossover trial(British Journal of Nutrition, 2025)
- Dietary Protein Distribution Positively Influences 24-h Muscle Protein Synthesis in Healthy Adults(Journal of Nutrition, 2014)



